早いもので1月も終盤になりました。相変わらず尚士会はノウハウをどんどん公開していきます。
それでは熊先生どうぞ。
柄に手をかける基本的な動作を、拝み手・拝み抜きなどといいます。刀を抜く初動作であり、とても大事な動作です。 左手は、親指でコイクチをきり、右手は柄の下から親指・人差し指の間で鍔に当て、手首を回転させて柄を取ります。この柄の取り方を拝み手・拝み抜きといいます。ちょうど拝んでいるような形になるからです。
理由は、三つあります。
一、脇差の柄があるので下から手を回す為。
二、上・横から柄をとった場合、手首にスキが出て相手に手首を斬られてしまいます。柄の下から手を回せば柄が守りになり手首を斬られる事はありません。
三、右手を柄の下から親指・人差し指の間で鍔に当て、手首を回転させて柄を取りそのまま刀を抜くと正しい手持ちになります。(以前刀の持ち方を説明しました。)正しい手持ちになっていれば、正しく、握り込み・ナックルが使えるので、抜きつけ水平なども斬れます。
拝み手で、刀を抜かないと居合斬りなどは、出来ません。実戦では、スキになり相手に斬りこまれます。流派により考え方・形はさまざまですが、尚士会では柄を上・横からとることはありません。
皆さんも試してみてください。
突き
新年第二弾!今回は突きについてです。
それでは熊先生お願いします。
真剣による突きは、諸手突き、逆さ諸手突き、片手突き、逆さ片手突き、諸手平突き、平突き、添え手突き、逆手突きなどがあります。斬り技である八刀法(真っ向、切り上げ、右袈裟、左袈裟、右逆袈裟、左逆袈裟、右水平、左水平)とは違い、突き技です。つまり、刀を振らないで(斬る動作ではない)切っ先を敵に向け最小限の動作で行えると言う特徴があります。
敵の攻撃に対し時間的余裕がないとき、狭い或いは距離がないとき、止めを打つとき、威嚇、牽制のときなどに用います。また、甲冑武者に対しては、隙間や甲冑の重ねへ、切っ先をやや上に向けてついた様です。
然しながら突き業は剣線をはずされ易いことと、深く突きこまないこと、一突きだけでは直ぐに倒しにくい場合があります。動作としては、突きが三分に引きが七分、手だけで突かず腰で突く、諸手は絞れ。突く前に手に力が入っていると狙いがずれたり、スピードが遅くなります。
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抜刀道尚士会-尚士館
袈裟に始まる
新年最初の書き込みです。今年も惜しげもなくノウハウを提供します!
それでは熊先生お願いします。
袈裟に始まり袈裟に悩む。
袈裟とは、左肩から右わきの下にかけて衣の上を覆う僧服から来ていて、一方の肩から片方の脇の下にかけて斜めにきりさげることです。試斬する人は、はじめに袈裟斬りから始めますが,決して易しいからではありません。
左右の袈裟がありますが、左袈裟から説明します。まず居合腰にて引き足踵が内に向かずに外側に向くようにし、腰が回らず肩が突っ込みにくくする。腰、肩が正体した時のまま正面に向いていること、刃筋が狂わず、しゃくらない。 柄頭が中心線を通る事。真っ向斬りにしても、右袈裟、左袈裟にしても柄頭は上段の構えから切り終わりの位置まで己の中心軸を通る事。
次に右袈裟ですが、左袈裟と違い、右腕が使いすぎないために肩の突っ込みも抑えられ刃筋も狂いずらいので、始めは斬りにくくとも直ぐにできるものです。斬り角度は40度~45度がよいでしょう。
居合は生死をかけた戦いですので、上段に構えて刀を振り下ろすまで、出来る限り相手に太刀筋を読まれないようにし、なおかつ最短にて斬ること。
奥伝 十指 背筋 左手の使い方(円&直線)
(不肖の弟子談)
言われてみれば当り前のように聞こえますがこれが本当に難しいのです。何年やっていても今だに先生から指摘されます。同じことを何度も先生に言わせるのはホント気の毒なのですが、先生は懲りずに指導してくれます。でも、それくらい難しいということです。
あけましておめでとうございます
新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
さて、我が尚士会は新年の3日から活動しております。
3日には京都の霊山護国神社にて奉納演武を行ってまいりました。
護国神社は大東亜戦争の英霊を祀るだけでなく、明治維新の志士たちも数多く祀られている由緒ある神社です。
坂本龍馬、中岡慎太郎、桂小五郎、幾松らの墓があることでも有名で、毎年多くの方々がお参りされています。
安全点検 目釘
今回は稽古をするものが決しておろそかにしてはならない目釘についてです。
それでは先生お願いします。
目釘は柄と刀身を固定するもので安全上大切なものです。出来るだけ目釘は2ヶ所(控えめ釘)にした方が良いでしょう。
材質としては、鉄,銅,真鍮、竹が使われています。 しかしながら、金属製のものは適しません。特に鉄製は絶対に使用しない事です。目釘穴になじまず、かえって穴を広げてしまいだんだんと脱落しやすくなってしまいます。
銅、真鍮に関しては、竹との併用に限って使用してもよいでしょう。昔から竹を用いているにはそれなりの訳があるものです。竹は金属と違い仮に折れても直ぐには刀身が飛び出しにくいものです。冬の最も寒い時期(2月ころ)の乾燥したときに切り出した竹を、3年間枯らしたものが良いとされています。肉厚で皮の部分の多い物、節と節の中程3分の1は使用せずに節に近い3分の1を使います。とは言ってもなかなか入手しずらいので、古竹(囲炉裏の煙で長年燻された竹)や古竹刀などを使用すると良いでしょう。
加工する際には、フライパンなどで空煎りしてから皮の部分を多く残すようにして削りだします。取り付け方は、右手の親指がかかる方より入れ,裏、表とも2~3ミリ出っ張る様な長さにしておき、握った時に目釘が抜けていないか親指で確認出来るようにしておきます。また、向きを決める事も大切です。竹目釘の一番丈夫な部分の皮面を、柄頭と刃側、下方45度にセットします。なぜならば、柄から刀身が飛び出そうとする応力と、斬ったときの切断応力を考慮しなければならないのです。
目釘は我々居合を志す者にとって大切なものなので、定期的に点検し緩んでいたり傷んでいるときには、ただちに交換しなければなりません。目釘だけではなく、切羽刃十分か、柄のガタツキ、柄の穴,さめ皮がしっかりしているか、また、時代の柄は、木、皮、紐が劣化している為に、居合に使用してはなりません。
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