尚士会稽古日誌 基本の基本8 「演武試斬 その2」
前回同様、人前での試斬についてもう少しお話しましょう。(熊師範談)
弟子たちの悪い癖ですが、基本刀法6段斬りや複数の敵など斬り込む前に、藁(ターゲット)に刀を合わせてしまうようです。居合抜刀術である以上、厳しいようですが斬れていても本来はダメです。実践では相手に刀をはじかれてしまいます。あくまでも藁(ターゲット)を敵とみなしています。敵に刀を合わせる人はいません。斬られてしまいます。初めのうちは仕方ないのですが少しづつ稽古しましょう。
実践刀法の動き間合いについて
刀の間合いに入ったら、抜き打ちもしくは抜いて斬る。二の太刀は刀を置いておき、目付、刀に無駄な動きをさせず間合いをつめ構えずに斬る。刀の流れに無理がないようにする。なかなか難しいですが、陰陽なので左右どちらかでも斬れるよう普段の稽古が大切です。実践では、左は苦手など通用しません。
得意なほうをたくさん稽古し、逆でも7割程度斬れるようにしたいものです。実践の間合いですが、組太刀を稽古している方はご存知でしょうが、刀を抜いた状態では刀がアンテナの役割をします。自分の切っ先と相手の切っ先が三寸(9cm)離れるのが居合いの間です。
居合いの間からは相手はいろいろ仕掛けてきます。フェイント・間合い・崩しなど。切っ先1寸(3cm)から切っ先が触れる間合いは斬りの間合いです。もう斬らなければ、もしくは斬っていなければいけません。
上記は刀を抜いた状態です。では鞘内からはどうでしょう。相手はこちらのアンテナを見ることができません。うまく体をかぶせることにより、刀の長さを隠すことができます。間合いのつかみづらい居合抜き打ちの恐ろしいところです。実践刀法を考えると、試斬もまた違った動きになります。